※ 実際のやり取りのまま載せようとしたらクソ長くなったので、インタビュー風にまとめてもらいました。
我が家には、兄妹猫の大吉と大福、そして後からやってきた春巻がいます。全員12歳くらい。 大吉と大福は一緒に暮らして5年ほどで、春巻がやってきたのは2年前のこと。前回はその距離感や関係性について話を聞きました。
その流れで、もうひとつ気になっていることが。
春巻の食い意地問題。大吉と大福だけのときは置き餌もできていたのに、春巻が来てからそれができなくなりました。
この状況がどういう構造になっているのか、 実際に起きていることをもとに、引き続き話を聞いてみることにしました。
登場猫
- 大吉:おす。大福の兄妹猫。穏やかで、人にも猫にも安定した態度を取るタイプ。
- 大福:めす。大吉の兄妹猫。人には甘えるけれど、猫同士ではどっしり構えるタイプ。
- 春巻:おす。2年前に家族になった後入り猫。大吉のことがとても好き。
(左から大吉、大福、下が春巻)
食べ物を取りこぼさない行動
――春巻の食い意地がすごくて、家中のごはんを食べようとします。これってどういう行動なんでしょうか?
目の前にある食べ物を、できるだけ取りこぼさないようにする行動と考えられます。
空腹かどうかとは別に、「今ここにあるものは今のうちに確保しておく」という優先順位で動いている状態です。 そのため、自分のごはんかどうかに関係なく、視界に入る食べ物に対して一通り反応する動きになります。
特に複数の食事場所やタイミングがある環境では、 「見つけた順に回収する」ような行動になりやすく、 家の中を見て回るような動きとして現れます。

(基本常に徘徊しておこぼれをずっと探してた)
――春巻はもともと港町の野良猫で、かなり太っていました。そのあと引き取られて、ダイエットのため食事制限を受けています。この過去って関係ありそうですか?
関係している可能性は高いと考えられます。
自由に食べられる時期と、制限される時期の両方を経験していると、 食べ物に対して「見つけたときに確保する」という判断が強く残ります。
一度制限を経験していることで、 「次にいつ食べられるか分からない」という前提で動きやすくなり、 その結果として取りこぼしを避ける行動が強化されます。
置き餌ができていた2匹と、できない春巻の違い
Q. 大吉と大福のときは置き餌ができていたのに、春巻が来てからできなくなりました。この違いってどこから来ているんでしょうか?
食べ物に対する関わり方のタイプの違いと考えられます。
大吉と大福は、お互いのごはんを取りに行くことがなく、 それぞれが自分のペースで食べることができていました。いわゆる「平和型」で、 食べ物をめぐって競争しない前提が成り立っていた状態です。
このタイプは、専門的には 「社会的資源の確保行動が低い状態」とも言えます。 つまり、「そこにあるごはんを取りに行く」という動き自体が弱いタイプです。
一方で春巻は、目の前にある食べ物を優先的に確保しようとするため、 他の猫のごはんも含めて回収対象になりやすくなります。これは「社会的資源の確保行動が強い」タイプに近く、 食べ物を見つけたときに積極的に関与する傾向があります。
つまり、春巻だけが特別に問題があるというよりも、 もともとの2匹が「競争が起きない前提で成立していた環境」にいたと見ることもできます。そこに、資源を確保しにいくタイプが加わったことで、 今のように置き餌が難しい状態になっている可能性があります。
他の猫のごはんを取ろうとする理由
――他の猫が食べているときに、春巻がごはんを取ろうとすることがあります。最初はそのまま割り込んできていて、私が止めるようにしたら、待って残りを狙うように変わりました。そもそも、なんで他の猫のごはんを取ろうとするんでしょうか?
前述の通り、目の前にある食べ物を優先的に確保しようとしていると考えられます。
このとき重要なのは、「誰のごはんか」という認識よりも、 「そこに食べ物がある」という事実に反応している点です。
他の猫が食べているものも同じ“資源”として認識されるため、 手が届く範囲にある限り、確保対象として行動に出やすくなります。
やり方は変わっても、取りこぼさないという方向性は変わっていません。
割り込みから「待って回収」に変わったのは、 方法が洗練されただけで、目的自体は維持されている状態です。
(いつも椅子の下で、他の猫が食べ終わるのをじっと監視してる)
「好き」と「食べる」がぶつかる構造
――春巻って、大吉が移動するとついていくことが多いんですけど、そのままごはんのときも近くに来ます。で、大吉が食べるのをやめちゃうことも。
「近くにいたい」と「食べ物に反応する」が同時に出ている状態と考えられます。
春巻の中では別の行動として切り替えているわけではなく、 「大吉を追う」という流れの延長に「食事」がそのまま含まれています。
そのため、本人にとっては自然な一連の動きでも、 結果として食事の場面に干渉する形になります。 春巻に悪気があるというより、近くにいることと食べ物への反応が重なってしまっている状態です。
大吉が食べられなくなる理由
――大吉は、春巻が近くに来ると食べるのをやめてしまいます。取られていなくてもやめることがあるんですが、これはどういう状態なんでしょうか?
「取られるかもしれない」という状況そのものに反応していると考えられます。
実際に奪われたかどうかではなく、「いつでも介入される可能性がある」という状態が、 食事中の安心感を崩していると考えられます。
猫にとって食事はかなり集中を必要とする行動なので、 わずかな不安要素でも中断につながりやすくなります。 特に大吉のように譲るタイプの場合、争うよりもその場を離れる選択をしやすいです。

(元々偏食気味な上、環境の変化を真っ向から受けている大吉...ありがとうねぇ🥹)
Q. 大吉はもともとちょこちょこ食べるタイプでした。今は春巻に監視されると中断してしまう。体にはどんな影響がありますか?
1回の量ではなく、1日の総摂取量が不足しやすくなります。少しずつ食べるタイプの場合、 一度食事が中断されると、その場で必要量を食べ切ることができません。
本来なら後で戻って食べればよいのですが、 その間に春巻が食べてしまうと、 大吉にとっては「あとで食べる分」が残りません。その小さな不足が積み重なることで、 体重や体調にも影響しやすくなります。
さらに、「落ち着いて食べられない状態」そのものがストレスになっている可能性もあります。猫にとって食事は安心できる環境に強く依存する行動なので、 近くに他の猫がいて気を張り続ける状態では、 食欲自体が落ちたり、食べる行動が抑制されることがあります。
つまり、単に量が減るだけでなく、 環境ストレスによって「食べる行動そのものが弱くなる」方向にも影響している可能性があります。

(大吉が動くと、メシだと思って咄嗟に春巻も動く)
体重減少と環境の関係
――大吉は6.3kgくらいあったのが、今は4.9kgくらいまで減っています。肝臓の嚢胞もあってウルソを飲んでいるんですが、この環境も影響していそうですか?

(年でみると悲しいほど。。)
内科的な要因に加えて、環境も影響している可能性があります。
肝臓の嚢胞やそれに伴う体調の変化が、食欲や体重に影響している可能性はもちろんあります。 そのため、体重減少をすべて環境のせいにすることはできません。
ただし、食欲の土台が弱っているときほど、 「落ち着いて食べられない」「途中で中断される」「戻ったらごはんがない」 という環境要因の影響は大きくなります。
つまり、肝臓の問題と食事環境の問題は別々に見るというより、 両方が重なって摂取量を下げている可能性があります。
安心して食べられる場所の効果
――ドーム型のベッドや箱型の爪とぎの場所を変えたら、大吉がそこに籠もる時間が増えて、その中でごはんを食べることが多くなりました。これってどう見ればいいですか?

(Photo Wiz My Catさんの撮影を機に、2つの個室を棚の2段目に移動。ただ床を片付けたかっただけなんだけども)
安心して食べられる場所ができた状態と考えられます。
周囲が囲まれている場所は、猫にとって外からの接近を把握しやすく、 逃げ場や身を隠す感覚も得やすい環境です。
大吉がその中でごはんを食べることが多くなったということは、 その場所を「落ち着ける食事場所」として使えている可能性があります。 体重の減少が少し落ち着いてきたこととも、つながって見えます。

(4月あたりから、徐々に横ばいに)
場所はあるが、維持できない問題
――ただ、大吉がドームから出たタイミングで春巻に食べられたり、春巻が入ろうとして大吉が移動してしまうこともあります。この状況ってどう整理できますか?
「その場では食べられるけど、維持できない」状態と考えられます。
ドームは大吉にとって安心できる場所になっていますが、 そこを離れた瞬間にごはんが守られなくなってしまいます。
また、春巻が入ろうとすることで、 大吉にとってはその場所自体の安全度も下がってしまいます。 つまり、食べる場所はできているものの、食べ物と場所の両方を安定して守る仕組みがまだ足りない状態です。

(本当にくまなく探しやがる)
改善の方向性
――こういう状況って、どこに手を入れるのがよさそうですか?
行動ではなく、環境を整えることが重要になります。
春巻の食べ物への反応を完全になくすより、 大吉が安心して食べられる条件を作る方が現実的です。
- 安心して食べられる場所を維持する
- その場所に他の猫が入りにくくする
- 離れてもごはんが残る状態を作る
特に大吉は一度に食べ切るタイプではないため、 「離れてもごはんが残る」ことがかなり重要になります。 場所の安心感と、ごはんが守られる仕組みをセットで考える必要があります。
とのこと。
これを知ってから意識して大吉が個室にいるときやキャットタワーの球体にいるときにごはんをあげるようにしてます。
元々新しいもの好きで偏食気質なので、安心してごはんを食べられる環境と、刺激をテーマに日々大吉のごはんタイムに向き合っています。



そして残飯を絶対に下げ、容赦無くNO MORE ごはん奪いを徹底してたら、春巻の徘徊も減ったような・・・🧐
引き続きがんばります。