ネコモチーフ古着だけを集めているフレーメンストアが送る、ネコ古着ガイド。元古着屋でもバイヤーでもなんでもない、ただのネコ狂いがこれまで培ってきたネコ古着ナレッジを惜しみなく出していくシリーズです。
定番アイテム編に続き、今回は「企業モノ・キャットフードブランド編」です。
以前も記事「ネコ×企業モノ古着の話」にて企業モノについては触れたんですが、割とニッチな感じになっちゃったので、今回はもう少し見覚えのあるものも含めてキャットフードブランドにフィーチャーして参ろうと存じます。
そもそも企業モノとは
古着業界でいう"企業モノ"とは、企業やブランドがプロモーションのために作ったり、社内用や作業着として配布されていたグッズのことを指します。有名なのはIT企業とか飲料メーカーとかカフェとかとか。基本的には当時数量限定で作られていたものが多いのでレアモノ扱いで、ファンやコレクターが多いジャンルです。
ネコ古着界の企業モノというと、主にキャットフードブランドのプロモーショングッズが多いです。まれにその他業界の企業で企業ロゴにネコを採用しているものもありますが(詳しくはこの辺どうぞ)。
ということで本記事ではキャットフードブランドを中心に掘り下げて紹介していきます📝
ネコ古着でよく見かけるブランド
プロモーショングッズが多いので、よく見かけるのは世界規模のブランド(たま〜にローカルブランドもありますが)。日本でも聞いたことがあるブランドもあれば、北米だと人気だけど日本ではそんなに、というものも。
・Nutro
・Friskies
・Kal Kan / Whiskas
・IAMS
・9 Lives
・Meow Mix
これらの古着やグッズを仕入れるたびにブランドやいつ頃のロゴかなどを調べていると、ほぼほぼMarsやNestléに買収されていることに気づきました。ちょっと脱線しますが、面白いほどに大手に食われていっていて興味深かったので、ちょっと掘り下げてみました。
ネコ古着的・キャットフードブランドの変遷
古着でよくみかけるキャットフードブランドの変遷をまとめてみました。最初は各ブランド独立企業だったのが、現在は世界だとMarsとNestléの2強、北米だと前述2社+J.M. Smuckerのほぼ3強に。
独立期
買収期
現在
かなりざっくりですが、おわかりいただけましたでしょうか。
Kal KanのCrave、PurinaのHappy Catは80sあたりにブランド終了しているのでレアだったり、北米で圧倒的知名度を誇るMeow MixのグッズはPurinaのマークがあると90s以前だ〜とわかったりと、コレクター心がくすぐられますね。
▲ 今は終了しているPurinaのHappy Cat。ドイツから同じ名前のフードが出てますね(全く別物)
ネコ業界の企業モノ古着
ここからはこれまで仕入れたものの中から、各ブランドの古着やグッズを紹介していきます。
※ 創業年順
Nutro(1926)
1926年、米国カリフォルニアで創業。1960年代から人工添加物を抑えたナチュラル志向を打ち出し、自然派フードの先駆けとして注目を集めました。1980年代には「Natural Choice」シリーズの展開をスタート、「自然派フード=Nutro」というイメージを確立。2007年にMars傘下となり、現在もグレインフリーやオーガニックといった健康志向ラインを展開しています。日本でもメジャーですね🌿
古着はあまり多くはないですが、企業ロゴやブランドのプロモーションTeeがちらほら見つかります。
▲Natural ChoiceシリーズのプロモーションTee
▲ 90s〜00sまで展開していたNutro Maxシリーズ。今は終了しているらしい。
Friskies(1930s)
1930年代に乳製品ブランドのCarnation社から誕生。当初はイヌネコ兼用でしたが、1950年代にネコ専用へシフトし、「缶詰=ネコの食事」文化を広めたブランド。1985年にNestléがCarnationを買収し、現在はNestlé Purinaの主力ブランド。日本だと「ネッコだぁいすきフッリスキ〜」のCMソングでお馴染みですが、2020年に販売終了しています。
▲ "30 AND STILL FRISKY(30歳でもまだ元気)"とブランド名にかけてネコに置き換えるとめっちゃ良いコピーのプロモーションTee
Whiskas / Crave(Kal Kan、1936)
1936年、米国でKal Kan Foodsとして創業。戦後、欧米で生活水準が上がり「ネコを家族として飼う」文化が広まる中で、Kal Kanが一気に大衆化。欧州では紫パッケージの「Whiskas」が大ヒットし、「ネコフードといえば紫」というイメージが世界中で定着。1968年にMars傘下となり、80年代以降は米国でもブランド名称をWhiskasに統一。80年代に日本にも上陸、「ねこ、まっしぐら♪」でおなじみ。日本だけはKal Kanの名前が普及しすぎてWhiskasではなくKal Kanのままなのだとか。
▲ 世界のWhiskasロゴキャップ。紫じゃないのが逆に新鮮。
▲ Kal Kanから80年代まで出ていたCRAVE。ロゴも茶色いネコもツボなんだけどブランド終了しているためなかなか見つからない。
▼ ぬいぐるみもあります。
もうすぐKal Kan表記のTシャツも入荷予定。
IAMS(1946)
1946年、米国オハイオ州で動物栄養学者Paul F. Iamsが創業。当時のキャットフードは、前述のブランドを含め副産物(人間用に加工された肉の残り)や穀物主体が主流。そんな中でIAMSは「ネコは本来肉食動物」という発想に基づき動物性タンパクを重視した栄養設計を打ち出し、プレミアムキャットフードの先駆けに。1999年にP&G傘下になり、2014年にP&Gがペットフード事業から撤退するのと同時にMars(欧州・アジア)とJ.M. Smucker(北米)に分割され買収されました。
そんなハイエンドな感じのイメージから始まったIAMSだからか、古着的にみると一番良い感じのTシャツを出している気がします。
(キャットフードへの意識が急速に高まる今、この記事に挙げられているごはんはどれも安価で人間ファーストなイメージに変わっていますねぇ.....)
古着だと大体80〜90sのものが多いので、どれも買収前のものたちですね。ロゴにも"IAMS COMPANY"と書いてあります。
▲ キメキメの7匹のネコが前後両面にいるTee。デザインがいい。
▲ こちらはブランド50th記念Tee。1946年創業なので、1996年製ですね。これもまたデザインがいい。
▲ IAMSのプレミアムライン、Eukanubaもまたいい。ネコのかわいさというよりも、至高さを表してる感じがしちゃいます。
巷の古着屋さんではイヌとネコのネオンシルエット的なやつをよくみますが、掘ると良いものが結構出てくるのがIAMSです。
9Lives(1959)
1959年、米国のツナ缶メーカーStarKist Foodsが「ネコには9つの命がある」という言い伝えにちなみ、魚ベースの「9Lives」を発売。1970年代には看板ネコ「Morris」がCMやグッズで大人気となり、Tシャツやマグが大量に作られたことで古着市場でも定番に。
その後はHeinzやDel Monteを経て、現在はJ.M. Smucker傘下。米国では今もスーパーで見かける定番フード(日本では展開されていません)。
▲ 25周年Tee
Meow Mix(1974)
1974年にRalston Purinaから発売されたキャットフードブランド。70s〜80sあたりまで放映されたTVCMのジングル(CMソング)が爆発的に浸透し、米国のお茶の間で誰もが耳にする1曲に。
2001年にNestléがPurinaを買収する際、独占禁止法の観点からMeow Mixは売却対象に。その後はDel Monteや投資会社を経て、現在はJ.M. Smucker傘下。米国では今もスーパーで並ぶ定番フードだそう(日本では未展開)。
結構いろんなネタが豊富なブランドで、
・1960sにCIAが実施した「Acoustic Kitty」計画で、スパイに仕立てられたネコを手なずけるためにMeow Mixを使った
・2000sに収容者尋問のBGMとしてジングルが延々リピートされた
という記録も。
▲ 90sのPurina時代のものをよく見かける気がする
▲ 結構色がバキバキなのもいいんだよな
▲ これはPurina表記あり。
Purinaから手放されたあと、Del Monte傘下時代の2006年には「Meow Mix House(通称 Meow Mix TV)」というリアリティ番組をスタート。数匹の保護ネコがシェアハウスで共同生活する様子を配信し、視聴者投票によって里親を決めるという斬新な企画。さらに飼い主とネコが一緒に楽しめる写真・動画コンテストや公開イベントも展開し、当時としては画期的なネコマーケティングを実現していたなかなかのネコ狂いブランドです。
Meow Mix TV Teeも近日入荷予定。
ちなみに独特な表情のネコが無理やり使われているロゴ変遷も面白いです。
(スペインの記事から拝借)
店主の古着観点的な推しは、IAMS(普通にオシャデザイン多い)、Kal KanのCrave(レアだけどロゴのもネコもかわいい)、Meow Mix(色々情報量多すぎ)です。
日本だとあげてる人口多そうなロイカナ、ヒルズ、ピュリナのスタンダードライン(Purina ONEとか)あたりはあんまり古着みないです(あと、あってもダ◯い)。
ちなみにキャットフード観点だと今の時代は上記のブランドたちよりもええものがたくさんあるので推しはないです(小声)
引き続き面白い企業モノとネタを探し続けます。