フレーメンストアといえば、主に「ネコ古着」と「おもちゃ」。
今はそんなイメージがついているんだろうなぁと思いますが、実は当初に精力的にやっていきたいと思っていたのは「ネコ古着」と「アートブック(主に写真集)」でした。
前職でアート系のWebメディアに関わっていた流れで、アート写真(※)に興味を持ち始め、ネコに浸かっていく中で「ネコ×アート写真」をディグするようになり。そこから書店やオンラインをサーチンして写真集を収集しはじめました。
(※) 広告写真や報道写真と異なり、写真家の主観や美意識、問題意識などを作品として表現した写真のこと
引き続き収集は続行しているのですが、仕入れて売るとなると、結構難しい。
古いものやすでに絶版のものは見つかっても数万するし、だいたい1点しかない=私のコレクションにもしたい....ので売れない。笑 ということでラインナップはどうしても今も重版してたり再編集されて再販されてたり在庫があるものに限られてしまい、なかなか充実させられないなぁという感じです。
(ネコ古着も1点ものみたいな考えは同じっちゃ同じですが、古くても本よりは単価が安いものが見つかりやすいし、作家などで縛らなければ幅広く見つけやすい。今後はわかんないけど)
知ったときにはすでに在庫がなく、数万で買ったZINE。その後、奇跡的に(?)再編集版が出版されて無事仕入れが実現した題府基之の実家シリーズ
ので、今販売している写真集は奇跡的に仕入れられていて、いつか絶版になり数年後には数万になっている可能性があると言っても過言ではないわけでございます。
と前段めちゃ長くなりましたが、今回は写真集について語ってまいります。
フレーメンストア的ネコ写真集セレクト
「ネコの写真集」というと数多あるのですが、ネコならなんでもいいということではなく(店主がどれだけ拗らせているかみなさまならご存知かと思いますが)、なんとなく基準があります。また、写真家や出版社として「ネコの写真集」にした意図がなくても、ネコが輝いて見えれば取り扱っていたりします。
表現者としての知識はないので、シンプルに「うぅぅネコが輝いている....」となったものを感覚的に仕入れていますが、言語化するとこんな感じ
- 写真にネコへの愛、時に変態性や狂気が感じられること
- ネコ(主に家ネコ)が輝いていること
- 写真家が伝えたいであろう何かしらのテーマをネコが後押ししてること
こんな感じの写真集を見つけると「ウォーーーーー」ってなります。
やっとここからが本題ですが、フレーメンストアのラインナップ&店主のコレクションの中から、ネコ狂いの皆様に伝えたい推し写真家 / 写真集を紹介してまいります。
1. 深瀬昌久
これまでSNSでも何回か紹介してきた深瀬昌久。
写真家界のネコ狂いと勝手に崇拝させていただいています。
写真館の家に生まれながらも、"写真師"ではなく"写真家"としての道を選ぶ。
何かに取り憑かれているかのように写真を取り続け、やがて被写体は妻やネコ、家族といった身近な存在に。"私写真"を代表する写真家といわれていますが、彼にとってのネコも相当"私"。常にネコと向き合っていないと撮れないような写真が多く、相当なネコ狂いであることが伺えます。
これらは絶版のため非売品(これらも比較的高値の中古で買った...)ですが、私物のネコ狂い写真集を紹介。
Wonderful Days(2015年, roshin books)
1964年、深瀬昌久は妻・洋子と共に埼玉県草加市の松原団地で新生活をスタート。そこで一緒に暮らしたシャムネコの「カボ」と黒猫の「ヘボ」。もちろんかわいい2匹、生活の一部感がたまらなく良い。
Afterword(2016年, roshin books)
こちらも同じくroshin booksから2016年に出版された「Afterword」。
深瀬昌久のネコといえばサスケですが、この「Afterword」は、1978年に出版された「サスケ!!いとしき猫よ」の巻末のあとがき「サスケ日誌」に使用された写真で構成されたもの。右下に直筆のキャプションが添えられており、そこからも沸々とネコ狂い味が感じられます。
上記2つはどちらも非売品ですが、2021年に赤々舎より出版されたサスケまとめ写真集「サスケ(2021, 赤々舎)」、その他にネコがチラホラ登場する写真集はお取り扱い中です。
2. 荒木経惟
こちらもまた有名なチロ。
「愛しのチロ(1990, 平凡社)」は、チロのいる風景とアラーキーによる日記が綴られた写真集。アラーキーによるしょ〜もない文章(褒めてる)、私は結構好きです。
チロ愛死の方は....
涙涙で開けませんので気になる方はお声がけくださいw
※ どちらも現時点でお取り扱いはありません。
3. 森康志 / ハットリくん
続いては家ネコの愛おしさが爆発しちゃってるこちら。
東日本大震災の原発事故をきっかけに、福島の双葉町から疎開してきた笹かまちゃんの名は「ハットリくん」。ハットリくんと共に暮らす写真家の森康志が、ハットリくんとの日常を捉えた写真集です。
左の「ハットリくん(Hey! Hattori)」は2018年にリブロアルテから出版。
こちらを見つめていたり、作業の邪魔をしたり、ベランダに出てみたり、ベランダから入れろと要求してみたり(STUART KATTですね)。若々しい愛おしさが爆発しています。
そして5年が経ち、2023年に同じくリブロアルテから出版された「ハットリくんへ」。
子どもが産まれ、賑やかになっているのが伺える森家ですが、心なしかハットリくんの表情もたくましくなっているように見えます。
まるで守るものができた、とでもいっているような背中です。
誌面上にもネット上にも溢れているネコの写真。きゅるんとかわいいネコの写真よりも、そのネコの生き様とか性格とかその時の思考が滲み出ちゃってるような表情の写真が好きな店主にとっては、たまらないシリーズです。
4.中矢昌行
パッと見「ん?」となるタイトルに目が行きますが、現在は雑誌等で活躍する写真家・中矢昌行による2冊のネコ写真集。
「ネコパシー」の方は絶版にて非売品ですが、こちらもネコ4匹と妻との"リアルな日常"を記録した写真集。
ネコと暮らす人なら共感できるショットが多いはず。リアルすぎて「おおおおw」となる写真もあります(こちらも気になる方はお声がけくださいw)
同じく中矢昌行の写真集でお取り扱い中なのがこちら。
ネコを愛しすぎている身からするとインパクトあるタイトルですが、2005年から10年間撮り溜めてきた「遠目に」ネコを撮影してきたシリーズの区切りとしてまとめられたもの。10年間もの“猫からの呪縛(つまり彼自身もネコ狂いだということ)”から解き放たれる、という意味で「さようなら」とのことです。
写真1枚1枚はむしろ「こんにちは」という感じで、先述の通り遠くにいるネコを写しており、よ〜く観察するとネコが見つかる。ネコ探しレベルが鍛えられます。
他の写真家とはまた違った変態味を感じられる作品です。
5. Ray's a Laugh / Richard Billingham
続いてこちら。
まず、ネコの写真集じゃないです。
が、この写真はみたことがある方もいるかもしれません。
イギリスの写真家、Richard Billingham(リチャード・ビリンガム)による、混沌とした実家の模様を写した「Ray's a Laugh」。1996年に初版が刊行され、大きな賞賛を得た同名作品集が2024年3月に再編集されて発売されました。
アル中で家のそこらじゅうで潰れている父を中心としたカオティックな家や人間たちに負けじと、ネコたちの存在も光っています。
奥さまも良いネコスウェット着てます。
Ray's a Laugh / Richard Billingham
6. MY FAMILY IS A PUBIS SO I COVER THEM IN PRETTY PANTIES [Signed] / 題府基之
続いても、ネコの写真集ではないです。
Billinghamさんとカオティックという意味では同系統ですが、毛色が違います。
写真家・題府基之が約13年間撮り続けている家族の写真集。
7人+1匹のネコによるTHE平成実家ライフが捉えられています。
この家族の象徴のようなお母様の魅力がものすごい上、子ネコ時代からいる黒白ハチワレのネコが同じくらい堂々と家族してて最高です。
良すぎる・・・・・・・・・・・
MY FAMILY IS A PUBIS SO I COVER THEM IN PRETTY PANTIES [Signed] / 題府基之
7. THE FORVER CAT
そして最後にこちら。
ネコのファウンドフォトを収集し、ZINEなどの作品を制作しているTHE FOREVER CAT。
どの写真からも、いつどこで誰が撮ったのかわからないけど、時代も国境も超えてネコが愛されているということだけ伝わってきます。
あぁネコってすばらしい。
他にもネコが輝いている写真集、たくさんあります。どれもワクワクしながら仕入れたものばかりなので、ぜひご覧ください😺